ホームネットワーク構築(5)
2017/08/26 (2017/09/03 updated)
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PCのTCP/IP設定(1):IPアドレスとサブネットマスク
- 前回はEthernet規格に基づきPC同士をLANケーブルとハブによって物理的に接続しました。今回はPCのOS上でTCP/IPの設定を行い、ネットワークを使用できるようにします。ただし今回の設定はあくまで理解のためであり、現実の運用とは異なること予めご承知下さい。

図1 : LAN接続PCへのTCP/IP設定
- Ethernetはあくまで機器間の接続規格であるため、TCP/IPを含めた複数の通信プロトコルを受け入れることができます。しかし現状ではTCP/IPが通信プロトコルのデファクトスタンダードになっており、「ネットワークの設定」は「TCP/IPの設定」と同義になっています。
- TCP/IPには、TCP/IPv4とTCP/IPv6の二種類ありますが、ここではTCP/IPv4で設定(*1)を行います。今回の2台PC直結LANで設定が必要なのはIPアドレスとサブネットマスクです。
- そしてIPアドレスとサブネットマスクを設定するために下記の項目を理解する必要があります。
- ネットワークアドレスとホストアドレス
- グローバルアドレスとプライベートアドレス
ネットワークアドレスとホストアドレス
- IPアドレスはTCP/IP(*2)上でコンピュータやスマホなどLAN内のネットワーク機器(ホスト)を特定する32bitの番号です。このままだと見にくいので、通常は32bitを8bit毎にピリオド(.)で区切り、それぞれを0〜255の10進数にして表現します。

図2 : IPアドレスの表現
- そしてIPアドレスは、LAN全体を示すネットワークアドレスと、そのLAN内の機器それぞれを示すホストアドレスとの和になっています。
- IPアドレス = ネットワークアドレス + ホストアドレス
- 仮にネットワークアドレスを「192.168.10.0」、そして「PC0」のホストアドレスを「10」とした場合、「PC0」のIPアドレスは「192.168.10.10」になります。同じネットワークアドレスを持つホストは、同じLANに属している扱いとなります。そして同じLANに属するホストは直接通信を行うことができます(*3)。

図3 : IPアドレス = ネットワークアドレス + ホストアドレス
- さて、IPアドレスはネットワークアドレスとホストアドレスから構成されていることを知りました。しかし実際OSのTCP/IP設定欄を見ると、IPアドレスの設定項目はありますが、ネットワークアドレスの設定項目は見つかりません。
- このネットワークアドレスを指定する方法として、32bit IPアドレスどの部分がネットワークアドレスに相当するかを示すのがサブネットマスクです。今回の例だと、先頭の24bitがネットワークアドレスに相当するので、サブネットマスクは「255.255.255.0」になります。

図4 : サブネットマスク
- IPアドレス32bitの内、ネットワークの指定に24bitを使用すると、ホストの指定に使えるのは残りの8bit(0〜255)です。その内「0」と「255」は特別な用途(*4)があるため、残りの「1〜254」つまり254台分をホストの指定に使用できます。
- つまりサブネットマスク「255.255.255.0」は、254台までのホストを接続できるLANであることを示しています。ホームネットワークでは254台規模のLANで十分なため、ほとんどの場合サブネットマスク「255.255.255.0」で運用します。
グローバルアドレスとプライベートアドレス
- 先程我々はネットワークアドレスに「192.168.10.0」という値を適用しましたが、これはどこから来たものでしょうか。実は適当な数字ではなく意味があります。プライベートアドレスと呼ばれ、LAN(ホームネットワーク)内の使用に限定されるIPアドレスです。
- インターネット上のホストには全てユニークなIPアドレスが割り当てられています。このIPアドレスはグローバルアドレスと呼ばれます。ホームネットワーク構築(2)で説明したように、インターネットはLANの結合で構成されているものですが、我々がLANを組む際、LAN内ホストの全IPアドレスをインターネット上でユニークになるよう管理しているかと言われれば、そんなことはしていません。
- 詳しい仕掛けは次回説明しますが、LAN上の全ホストは、自分が属するLANの外と通信をする場合、ある特定のホストを経由します。この特定のホストはゲートウェイ(Gateway)と呼ばれ、特に送受信データのIPアドレスを見て経路を決める機能を持ったゲートウェイをルータ(Router)と呼びます。
- LAN内のホストがインターネットと通信する場合、ルータがデータに付随するアドレスをグローバルアドレスとプライベートアドレスへ適宜変換してくれます。一般家庭で複数台のホストを持つのが普通となった今では、ルータの持つ経路決定機能は必須なので、ゲートウェイと言えばルータを指すという理解でも問題ありません。

図5 : プライベートアドレスとグローバルアドレス
- ルータを経由して外と通信する際にはグローバルアドレスが適用されますが、LAN内の通信に使用するプライベートアドレスは何でも良いのです。ですが本当に何でもありだと見分けにくい(*5)こともあり、254台規模(クラスC)のLANに割り当てるプライベートアドレスは下記を使用するというガイドラインがあります。
- 192.168.0.0 〜 192.168.255.255
-
例で示したネットワークアドレス「192.168.10.0」は、これから決めたものだったわけです。
次回は
- ISPから与えられているグローバルアドレスは一つだけなのに、LAN側の複数台のホストが同時にインターネットへアクセスできるのは不思議ですよね。次回はルータの機能を中心に説明します。
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Notes
- TCP/IPv6については、別の場で扱いたいと思います。現状では普通にTCP/IPと言えば、それはTCP/IPv4を指します。
- TCP/IPのアドレスはEthernetが運ぶデータの一部として扱われます。Ethernetとしてはネットワーク部品(ホストではない)自身がユニークなアドレス(MACアドレス)を持っています。
- LAN内の直接通信については、TCP/IPのアプリケーション説明時に詳しく扱いたいと思います。
- 「0」はネットワークアドレス自身、「255」(ホストアドレス範囲の最後)は、LAN内のホスト全体を指すブロードキャストアドレスとして使用されます。
- 本当は外のホストへアクセスしたいのに、LAN内に同じIPアドレスのホストがいればそこへアクセスしてしまいます。よってLAN内のIPアドレスはグローバルIPアドレスと被せない範囲として決まっています。それがプライベートアドレスです。
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