ホームネットワーク構築(2)
2016/11/03
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ネットワーク回線からISPを経てインターネットへ
- 前回は自宅からネットワーク回線への接続を中心に話をしましたが、今回はネットワーク回線からISPへの接続と、インターネットの構成について話をしたいと思います。

図1 : ネットワーク回線からISPとインターネットへの接続
- 契約者宅からISP(Internet Service Provider)までの経路例(*1)を図2に示します。回線事業者が構成するネットワーク回線は各基地局より集約され、ISPと接続されます。回線事業者(キャリア)側のネットワークをキャリアネットワーク(Carrier Network)と呼びます。
- そしてキャリアネットワークの集約装置はISP側のルータと接続されます。ここで契約者は回線事業者の提供するネットワーク回線を経由してISPへアクセスできることになるため、ISP側から見てキャリアネットワークを含めた契約者宅との接続経路全体をアクセスネットワーク(Access Network)と呼びます。

図2 : キャリアネットワークとアクセスネットワーク
ISP内部のネットワーク
- ISPと契約すると大抵の場合メールのアカウントや、希望すればWebスペースが与えられ、インターネットを経由したメールのやり取りや、ホームページの公開などが可能になります。これはISP自身がインターネットに接続できるサーバを持っていることを意味します。ISP内のネットワーク構成を図3に示します。

図3 : ISP内ネットワーク構成
- ISP内部のネットワークは、先に説明したアクセスネットワークと合わせ、以下の3種に分類されます。
- アクセスネットワーク(Access Network)
- ディストリビューションネットワーク(Distribution Network)
- コアネットワーク(Core Network)
- ディストリビューションネットワークは、そのISPが持つサーバリソースへ契約者側もしくはインターネット側からアクセスするためのネットワークです。
- コアネットワークは、ISPが他社のネットワークすなわちインターネットへ接続するためのネットワークです。契約者もしくはサーバは、コアネットワークを経由してインターネットへアクセスします。
- 例えばISPのWebサーバを使ってホームページを公開する場合を考えてみます。
- 契約者はアクセスネットワークからディストリビューションネットワークを経由し、FTPというTCP/IP上の通信手順によって、Webサーバ上にHTMLデータを置きます。
- Webサーバはディストリビューションネットワークとコアネットワークを経てインターネットへ公開されており、HTTPというTCP/IP上の通信手順によりWebブラウザとデータのやり取りをしています。
- つまりISPの持つサーバは、インターネット上のサーバリソースの一部になります。
- すると、インターネットへのアクセスそのものはISPに任せて、インターネット上でサーバリソースのみを提供する事業者も当然現れます。これらの事業者は、CP(Contents Provider)やDC(Data Center)と呼ばれます。検索サービスやらブログやらSNSやらフォトストレージやら契約ISPとは関係無いネットリソースを我々もいろいろと使っていますね。

図4 : CPとDC
インターネットを構成するもの
- ここまでISP, CP, DC等インターネット対するアクセス又は何らかのリソースを提供する事業者の話をしてきました。インターネットとは、これらの各事業者や組織のネットワークを相互に接続したものです。

図5 : インターネットの構成
- インターネットは、各会社や組織のネットワークを相互に接続したものですが、例えばISPは階層的に接続されており、最終的に国内外の大規模ISPにまとめられていきます。Tier1 ISP等と呼ばれています。これら大規模ISPや、大学などを含めたその他組織同士のネットワーク結合がインターネットを構成しています。更にインターネットには、ネットワークの相互接続のみを提供する事業者もおり、それらはIX(Internet Exchange)と呼ばれます。
- 例として、図5からわかると思いますが、ISPに置かれたメールサーバもインターネットリソースの一部です。外出時にホテルでインターネットに接続(つまり別のISPを経由)しても、契約ISPのメールサーバにアクセスできることの意味が理解できるでしょう。
また別の例として、サーバレンタル事業者ではなく、DDNSを使用して自宅にサーバを置く際も、それは確かにインタネットリソースの一部となるわけです。
- 今回はホームネットワークの解説が主目的なので、BGP等のルーティングプロトコル云々の話は止めようと思います。自分から見てインターネットは何が繋がったものなのかイメージできれば十分です。
ISPとの契約
- インターネットへアクセスするとは、回線事業者のキャリアネットワークを経てISPへ接続することなので、この二つの事業者と契約が必要ですが、現状では「ISPとの契約にキャリア事業者との契約が含まれる」ケースがほとんど(*2)です。
- そして光回線事業者の選択肢は、そんなに多くありません。大抵の場合
+ FLET'S光 (NTT)
+ auひかり (KDDI)
+ その他地域によって1,2社
ぐらいかと思います。そして「FLET'S光」と「auひかり」は複数のISPと接続できます。
- 例えば私の住んでいるマンションだと、光回線事業者とISPのパック契約(*3)が存在するものは下記のような組み合わせになります。
表1 : 回線事業者とISPの組み合わせ例

- 光回線事業者の選択肢が少ないということは、(機器故障を除き)ネットワークの接続品質が低い場合、事実上ISPの切替が対応手段ということになります。やれることは少ないのです。
- 例えば、もし回線事業者側のキャリアネットワークにあるISPへの集約部がボトルネックだったとしても、その混雑部へのアクセスを避けるようにISPを切り替えることが我々の取れる手段となります。ラストワンマイルを握っている回線事業者は強いのです。
- VDSLの場合回線そのものが100Mbps以下になるので、たとえISP側の速度が遅くても、回線側がボトルネックとなるため「どこのISPでも差は感じられない」となるかもしれません。契約ISPが絞られる地域独自の回線事業者を利用するときもVDSLならISPへの不満を感じる確率は低いと思われます。
- 光ファイバ直結の場合は、アクセスネットワークにボトルネックがあると、どこへアクセスしても遅いという状況になりますが、これも先に説明した通り契約ISPの変更を検討することになります。
- その他として、引っ越しが予定されている場合、独自回線事業者+独自ISPの利用は継続できない可能性が高いため、ある程度メジャーな回線事業者+ISPと契約を行い、住所変更手続きのみで対応するのが便利でしょう。
- ここまで「家の外」を対象に話をしてきました。次回より「家の中」つまり「ホームネットワーク」に視点を移します。
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Notes
- 自宅のモデム/ONUと基地局接続の詳細については、前回レポートを参照下さい。図2では基地局からの集約しか表現していません。
- 数年前は回線事業者とISPの契約は別々でした。そのため思ったより料金が高くなることも。
- 別々の契約を含めるともう少し組み合わせ増えますが、その場合は接続料金が少し高くなるので、初めから書きませんでした。
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